就労継続支援B型事業所 社会福祉法人 もるどう会 あじさい園

#23 保護者の皆様へ 機関紙「手をつなぐ」をご紹介

#23 保護者の皆様へ 機関紙「手をつなぐ」をご紹介

保護者の皆様、園運営にご協力いただきありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

この度、滋賀県手をつなぐ育成会の機関紙「手をつなぐ」のデータを、保護者のページにアップロードさせていただきました。この機関紙の中には、令和8年度の知的障がい者施策関連予算に係る要望および回答についての記事が掲載されており、福祉分野と教育分野の課題について、会員の声と県の回答が詳しく紹介されています。

今回は、この記事の内容について、あじさい園の視点からご紹介させていただきます。

福祉分野の課題 〜暮らしと制度の深い課題〜

障害基礎年金の「判定」と生活費

知的障がいのある方にとって、障害基礎年金は生活を支える大切な制度です。しかし、会員からは「現在の年金額では自立した生活が苦しい」という声が上がっています。また、知的障がいは精神障がいと異なり「状態が変動しない」ことが多いにもかかわらず、更新手続きが大変であることや、判定基準を精神障がいとは別にしてほしいという要望も出されています。

県の回答としては、金額や基準は国が決めることであるため、県としてできることは限られているものの、一度「永久固定(状態が変わらない)」と認められれば、原則として再認定は不要という運用をしているとのことです。

療育手帳の地域格差

療育手帳(愛の手帳など)は、身体障害者手帳とは異なり、自治体ごとの制度となっています。そのため、地域によって判定基準も名前もバラバラで、引っ越すと等級が変わるなどの不利益があるため、全国統一してほしいという要望が上がっています。また、JRなどの運賃割引が、身体障がいの基準をそのまま流用しており、知的障がいの移動支援の実態に合っていないという課題も指摘されています。

県の回答としては、全国統一については国が現在研究中であり、その動向を見守っているとのことです。割引制度の拡充についても、国へ要望していくとのことです。

グループホームの「質」と「量」

グループホームの数が足りないだけでなく、「誰でも入れるわけではない」というミスマッチが起きています。営利企業の参入でホームの数は増えたものの、「強度行動障がい(激しい行動上の課題がある)」や「重症心身障がい」のある人を受け入れるホームは不足しているという現状があります。また、経営撤退や、手のかかる人の入居拒否をする事業所があり不安であること、世話人のスキル不足も深刻であるため、県主催の研修をしてほしいという要望も出されています。

県の回答としては、令和8年度までは県単独の予算で集中的に整備するが、令和9年度以降は未定とのことです。人材育成については、県が研修を用意しているほか、社会福祉法人等に委託して会員同士の交流を図っているとのことです。

物価高騰と報酬(給料)の限界

これは、福祉事業所の経営者様にとって最も切実な課題の一つです。最低賃金の上昇や物価高で経費が増えているにもかかわらず、福祉の報酬は「公定価格(国が決める価格)」であるため、勝手に値上げできず、経営が圧迫されているという現状があります。報酬改定は3年に1度ですが、これだけ物価が変わる今は「1年単位の物価スライド(物価に合わせて報酬を上げる仕組み)」が必要であるという要望が上がっています。また、新しい報酬単価が決まるのが直前(3月)すぎて、4月からの経営計画や雇用契約が間に合わないため、半年前には方向性を示してほしいという要望も出されています。

県の回答としては、3年に1回の改定では物価上昇に追いつけないことは認識しているとのことです。情報の提示が遅いことで会員が混乱していることも認識しており、国に対して改善を求めていくとのことです。

「親なきあと」と高齢化(共生型サービス)

障がい者が高齢になり、介護保険への移行を迫られることがあります。しかし、「共生型サービス(障がい福祉と介護保険を同じ事業所で受ける仕組み)」が普及しておらず、「絵に描いた餅」になっているという課題があります。使い慣れた事業所を使い続けられるよう、報酬設定を介護保険並みに引き上げるなどのインセンティブがほしいという要望が上がっています。

県の回答としては、制度が複雑で、事業所の経営を圧迫する要因があることは理解しているとのことです。引き続き周知や丁寧な説明を行うとのことです。

入院時の付き添い問題

重度の障がい者が入院した際、病院の看護師だけではコミュニケーションや介助が難しく、施設の職員や家族が付き添うことになります。しかし、その費用の補償がない(持ち出しになる)ため、新たな加算を作ってほしいという要望が上がっています。

県の回答としては、会員の声として国(厚生労働省)には届けているとのことです。対象者の拡大などを働きかけていくとのことです。

教育分野の課題 〜学校現場での支援〜

強度行動障がい児への教育

「強度行動障がい」は生まれつきのものではなく、子供時代の環境が合わないことで悪化すると言われています。学校の先生も福祉の専門研修を受け、対応できる専門性を身につけてほしいという要望が上がっています。

県の回答としては、文部科学省からの通知に基づき、福祉と連携する重要性は周知しているとのことです。大学への研修派遣などで専門性の向上を図っているとのことです。

教員の専門性と免許

特別支援学校の教員免許を持っていない先生もいるため、もっと取得を進めてほしいという要望が上がっています。

県の回答としては、免許取得を推奨しており、令和5年度は60名が申請した(令和6年度は10名)とのことです。全ての教員が免許取得を目指す方向で進めているとのことです。

「副籍(ふくせき)」と交流

特別支援学校に通いながら、地域の学校にも籍(名前)を置く「副籍」制度での交流を増やしてほしいという要望が上がっています。その際、支援員によるサポートを必須にしてほしいとのことです。

県の回答としては、副籍を希望する児童は増えているとのことです。これまでは小学生中心でしたが、令和7年度からは中学生段階でも試行を始めるとのことです。

高校での「通級(つうきゅう)」指導

発達障がいや軽度知的障がいのある生徒が普通高校に進むケースが増えているものの、配慮が進んでおらず中退も多いという現状があります。高校でも「通級(一部の授業を別の教室で特別な指導を受けること)」ができるようにしてほしいという要望が上がっています。

県の回答としては、令和7年度から、北大津高等学校で通級による指導を開始したとのことです。対象校を増やし、専門家を派遣して体制を整えているとのことです。

全体を通してみる「国の視点」

この資料全体を通して、滋賀県の担当者は「要望の正当性は理解している(認識している)」という表現を多用しています。しかし、予算権限や制度決定権が「国(厚生労働省や文部科学省)」にあるため、「県としては国に要望することしかできない」「県単独予算でできる範囲には限界がある」というジレンマが読み取れます。

特に「物価高への対応(報酬改定)」と「入院時の付き添い費用」については、地方自治体だけで解決するのが難しく、国の制度改正を強く待っている状態と言えます。

まとめ

今回ご紹介した機関紙「手をつなぐ」の記事では、知的障がい者施策に関する様々な課題と、それに対する県の回答が詳しく紹介されています。福祉分野では、障害基礎年金、療育手帳、グループホーム、物価高騰と報酬、親なきあと、入院時の付き添いなど、多岐にわたる課題が取り上げられています。教育分野では、強度行動障がい児への教育、教員の専門性、副籍、高校での通級指導など、学校現場での支援に関する課題が取り上げられています。

これらの課題の多くは、県だけで解決できるものではなく、国の制度改正を待つ必要があるものも少なくありません。しかし、県としても会員の声を国に届け、改善を求めていることが分かります。

保護者の皆様には、このような制度の課題や動向についても、ぜひ知っていただきたいと思います。あじさい園としても、利用者や保護者の皆様の声を大切にしながら、日々の支援に取り組んでまいります。

機関紙「手をつなぐ」のデータは、保護者のページにアップロードしておりますので、ぜひご覧いただければと思います。


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